研究が進んだ
もうこれ以上どうしようもないってところにいた。
と思ってた。
半年くらいずっとあうあう言ってた。
ほんと、式をこねくり回して、うりゃうりゃうりゃーって。
で、全く分かんないわけ。
当たり前な話。
おもむろに先輩や先生にあうあう言う。
わけ分からんことを言ってるのに真面目に取り合ってくれる。
僕は少し理性を取り戻す。
指摘してもらったところを考える。
また式をこねこねする。
うーん、さっぱり分からない!
はじめは、そもそもどういう風に説明したら良いのか分からんかった。
何が分からないか分からない状態だった。
ただ自分がやったことを説明する。
「出てきた結果があれれぇおっかしいぞ!状態なんです」と言うだけの困ったちゃんだった。
結果の考察の仕方が分からなかった。
ちょっと僕のこの半年を説明してみる。
僕が悩んでたのは、パラメタを含む積分が、パラメタがある値に近づくにつれて、発散する。
この積分の計算が正しいのかどうかはどうやって確かめるか。
漠然と「うーん、数値計算?」と思ってた。
正直、その数値計算にもあまり自信が持てない。
それも計算したら「やっぱり出てきます」と言えるだけな気がして*1。
状況証拠みたいで、逮捕に踏み切るにはまだ弱い。
凶器が見つからないと、やっぱり令状は望めなさそうだった。
何の話やねん。
いや、こんな発散されると困るんですよね。
「僕、修士論文かけない!」ってなっちゃう。
つまり僕、卒業できない。
うぅ、死ぬしかない!
となって「ぼく殺人事件」が発生。
これが今から半年前(何
で、ボスが手法を教えてくれた。
「捜査ってのはこうやるんだよ!」って感じで。頼もしい。
なるほど!ってなるやりかた*2。
変になるパラメタ近傍に限定して、さらに発散を生みそうな部分だけについて積分してみたら良いんです。
そうすると簡単な関数系の積分に落ち着く。
問題はずっとシンプルになる。
それで確かに僕の計算と同じ振る舞いが見えたら、もう確実にそこが原因だと言える!
犯人の指紋がべったりついた凶器*3が見つかったんだから、もう星はそいつで決まり!状態。
でも、僕のやった計算と違うパラメタ依存性が、結果として出てきた。
よく見たら、実は他にも発散を生みそうな箇所があった!
それに気付いたときは「これだ!」と思って飛びつくように、同じ手法で計算してみた。
でも「これも違う」と結果が言う。
途方に暮れた。あうあう。
ちょうどこれが6月あたり。
容疑者が2人に絞られたと思ってたのに、両方ともシロと判明したみたいなもん。
もう袋小路に迷い込んだ捜査一家*4。
そこで「捜査の基本は現場100回」を思い出す。これ、基本ね。
どっか矛盾してるハズなんだ。
ぼくが殺害されてるのに、犯人がいないなんて理不尽すぎる!
犯人がいないと困る*5!
式変形を見てみる。間違いは見つからなかった*6。
でも、違う変形をすれば、ある項はキャンセルされることが分かった。
僕の計算ではその項をキャンセルせずに進めていた。
「ぐぬぬ!その項も発散しそうだぞ!」と分かった。
ボス直伝の手法を試してみる。
でも、結果はシロだった。
でもでも、その項からしか変な発散が出てくる可能性がない。
これがつい最近までの話。
視点を変えてみようと、事件に関知していなかった准教授の先生に一部始終を打ち明けた。
「何か見落としてるだけだと思うんだけどね〜」など色々と示唆に富んだコメントを頂いた*7。
実は発散しそうな箇所がもう一つあったのです。
ここに来て、「まさか!」ですよ。
ホントに見落としてた。
そしてボス直d(ryで計算すると…確かに同じ振る舞い!
犯人は分かった。
でも、その項はキャンセルして悪さしないハズだったのに…。
アリバイあるのに、犯人なん?
アリバイをどう崩すか。
もうほぼ矛盾点は明らかになってた。
えいや、と矛盾のない形に持っていった。
どんな形にもっていったのかは、ちょっと守秘義務に引っ掛かるので、ここではピーと伏せさせてもらいます。
ピーをピピピーでピピピピーピーだったんだけど、実はピーピーピーで、ピピーピーだったんです(謎
まぁ、めでたくアリバイが崩れて、
っていうか「そもそも殺人事件なんてなかった」という結果になりました(何
めでたしめでたし。