芯
芯がなかったらダメだ。
そう思ってた。
芯がなかったらふにゃふにゃだと。
でも、煮え切らない米には芯が残る。
芯がまだ残っていたら食うに食えない。
実は、芯があると逆にまずくなるのだろうか。
鯛の腹を取り除いて、そこに芯の残った米をたっぷり入れてから、蒸し上げる。
すると、最高の鯛飯ができあがるという。
もう一手間かけて、最高の食へ。
芯がなければ、そこで出来上がってしまう。
芯があってこその画竜点睛。
敢えて芯を残すこと。
そして芯があってこその一手間で、その芯をなくすこと。
それは人にも、きっと通じる。
柔よく剛を制す。
信じるものは、救われる。
──もしくは、信じたがために足をすくわれる。